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広報・調査部

【対談特集】全国農協青年組織協議会 会長 田中 圭介 ×「全農の食の応援団」虹のコンキスタドール

食と農の魅力を伝えたい 生産者の立場から、消費者の立場から

 今年5月に全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長に就任した田中圭介氏と、昨年10月に「全農の食の応援団」に就任した「虹のコンキスタドール」。食と農について伝えるミッションを持つお二方に、伝えることの大切さや、グループで力を合わせて目標に向かうことなどについて語り合っていただきました。


 
 
JA全青協・田中圭介(たなか けいすけ)会長
 1982年、福岡県田主丸町(現・久留米市)生まれ。福岡県JAにじ青年部、田主丸町4Hクラブ所属。2005年に大学卒業後、親元就農し、現在は野菜(リーフレタス、金時人参、エダマメなど)や水稲を栽培している。令和2年5月にJA全青協会長に就任。

田中会長 初めまして。全国農協青年組織協議会会長の田中圭介です。年齢は38歳、出身は福岡県久留米市でレタスを中心とした野菜を作っています。

虹のコンキスタドール(以下、虹コン) 私たち、虹のコンキスタドールです!的場華鈴です。清水理子です。よろしくお願いします。

的場さん 私たちは、2019年から「全農の食の応援団」として農業の魅力などを発信する活動をしています。「全農Presents 虹のコンキスタドール 届け!ファンファーム」というYouTubeの番組では、私たちが実際に農業や直売所でのお米の販売などいろいろな事に挑戦する様子を通して、「食と農」の魅力を皆さんに伝えています。

「虹のコンキスタドール」の的場華鈴さん(右)と清水理子さん

虹のコンキスタドール
 メンバーは16〜24歳の女性12人で構成。ファンである10〜30代の若い層に国産農畜産物をPRすることを目的に、令和元年10月に「全農の食の応援団」に就任。今年7月から動画サイトYouTubeで番組「全農presents届け!ファンファーム」をスタート。虹コンメンバーが農作業や料理に挑戦する姿を通じて、食と農の魅力を発信している。

清水さん この活動で、実際に自分で育てたお米は格別においしいんだと思いました。自分たちで作ったお米「虹米(にじまい)」を自宅で食べたのですが、あまりに光り輝いていてビックリました!食べたら本当においしくて、頑張って作ってよかったなと思いました。

田中会長 農業では、野菜以外もお米や畜産など、いろいろな農畜産物がありますが、農業の一番の魅力、やりがいは、僕らの作ったものが食卓にあるということ。「いただきます」を途切れさせないように、種をまいて、頑張って育てて、いろいろなシーンで「食」を楽しんでもらいたいなと思います。家族で食べるのもよし、一人で食べてもよし。みんなで食事するのもよし。その時の食材を安定的に供給するというのが僕らの一番の使命です。

的場さん 農業をやってみて、想像していた100倍大変でした。私たちはライブで激しいパフォーマンスをするグループなんですけど、田植えの次の日はみんな筋肉痛でした。

田中会長 僕からすると、ステージで踊る方が無理ですけどね(笑)。

 田植えなどは機械化が進んでいますが、まだ人の手が必要なところが農業分野は多く残っています。日常使わない筋肉を使うし、姿勢も中腰が多かったり、かがんだり立ち上がったりの繰り返しなど、肉体的疲労はあって、農業に就く人たちの一番の関門はそこですね。その苦労はあるかと思いますが、慣れると案外体がついてきます。皆さんも1日で筋肉痛を乗り越えて1週間続ければ慣れてくるかもしれないですよ(笑)。

 農業は反復が多い仕事です。同じことを繰り返せば、体は慣れますが、モチベーションが下がってくる。それをどう上げていくか。僕ら青年部のメンバーは「こういうのが面白いよね」「こういうふうにやっていこうよ」とみんなで話し合い、それを形にしていくことをモチベーションアップのきっかけにしていますし、そうした取り組みが組織活動の一環でもあります。

 それと、僕らは市場やスーパーに出荷まではしますが、その後の部分、消費者の元に届いて食べてもらうところはなかなか直接見る機会が少ないです。虹コンさんも、お米を自分で販売して、買ってもらえた時、うれしかったと思うのですが、どうでしたか?

的場さん すごくうれしかったです!

田中会長 お金を払って買ってくれることもうれしいし、もし、また店頭に立った時に「この前おいしかったよ! ありがとう!」って言われたらとってもうれしいですよね。実は僕ら生産現場には、そういう声が届きにくいのが現状です。僕ら生産する人以外にも、販売する人や物を運んでくれる人もいます。農家だけですべての食を支えているわけではない。僕は食を生み出す、「0を1にする仕事」が農業、そのあとはいろいろな産業が重なって、「食」が形成されているのかなと思います。

的場さん 「全農presents 届け!ファンファーム」は終わってしまったのですが、これからも何かできたらいいなと思っています。私たちはTwitterなどのSNSを自分で発信するんですけど、ハッシュタグ「#全農の食の応援団」を作っていて、料理したら絶対そのハッシュタグを付けて、味の感想などを発信しています。

清水さん これからもいろいろと食について伝えていきたいなと思っています。

田中会長 男女問わず皆さんの世代で、食や料理に関心を持ってくれる人が1人でも多くなれば、僕らはすごくうれしいですね。コンビニに行けば食べ物は買えますし、蛇口をひねれば飲める水も出ます。それが当たり前で、なかなか食の大切さに気づかなくなり、食の重要性が薄れてきているように感じます。僕らももっとアピールしないといけないと思っています。皆さんの力を借りてもっとアピールしていきたいです。ぜひともまた、お力を貸してください。

今回のYouTube番組を見たファンの方から反響などありましたか?

的場さん 今回の番組は千葉県の君津で撮影したのですが、その場所に行ってくれたファンの方が何人かいらっしゃいました。私たちのサインを直売所に置かせてもらったんですけど、その写真を撮って、「行ってきたよ」って言ってくださる方がいらして。聖地巡礼みたいな感じで(笑)。

清水さん あと、「焼肉ぴゅあ(全農直営焼肉レストラン)」で虹コンの推しメニューを決めたら、ファンの方たちがそれを食べに行ってくれたりとか。そういう声を結構聞きます。

的場さん  今はこんな情勢でできないですが、ファンの皆さんは、ライブ後に皆でご飯を食べに行って、「今日こうだったよね」みたいな食事会をするらしいんです。それを「焼肉ぴゅあ」でやっていたりもして。あと、さっきのハッシュタグをファンの皆さんも使ってツイートして、「ここのこれがおいしかった!」とか、JAタウンで買ってみたと知らせてくれるファンの方もいますね。

清水さん 私も料理の写真やコメントを載せると、ファンの方たちも同じように自分が作った料理をハッシュタグで載せてくれるようになって。こうやってもっと貢献できたらいいなと思っています。

農作業はすごく大変だったと思いますが、チームの結束力はあがりましたか?

的場さん 普段12人で活動していますが、今回はくじ引きで4人ずつ3チームに分かれたんです。普段、なかなかないチーム分けだったのですが、チームの中で力を合わせていくうちに、「あ、この子は結構こういうことができるんだ」みたいな新しい気づきもあって。農業を通して、私たちのチームもさらに仲良くなった感じがします。やっぱりみんなで同じ作業をするっていうのは、大きい事なんだなって思いました。

田中会長はいつもご家族で作業されているのですか?

田中会長 はい。家族でやっています。家族経営で一番いいなと思う事は、子どもの成長もずっと見られることですね。子どもは3人いるのですが、田んぼで遊んだり、箱を運んだりと、仕事をしながら家族の成長が見える。それと祖父母の年代と触れ合える機会もものすごくある。子どもを市場に連れて行くと、近所のおばちゃんたちが、「お手伝いしてるならジュースあげるね」と声を掛けてくれる。そういったところは農業の良さじゃないかと思いますね。

田中会長は「伝える」こと関して感じている課題はありますか?

田中会長 消費者、食べてくれる人たちに「食」を作っている現場の事情を伝える事も必要ですが、国や行政などにどう訴えることができるか。自分たちの本当の困りごと、本当に助けてほしいことを伝えるのが非常に難しいと思っています。近年、異常気象や天候不順が多いですよね。地元では大雨の被害が4年連続あって、多くの農地が水没して農作物も被害を受けました。また、暖冬による生育バランスの崩れもあります。野菜ができすぎるのも問題ですし、できないのも問題。そういった生産現場の課題を国民に伝えたり、政府や行政に伝えたりすることが非常に難しいし、農業者は苦手だと思います。そこを工夫したり、助言をもらったり、皆さんのような違うフィールドの方たちと触れることで発信したりと、いろいろ取り組んではいますが、難しいです。

虹コンのお二人は、SNSやいろんな媒体で人に伝えるときに気を付けている事はありますか?

的場さん 自分の言葉で発する事が何よりも伝わると思うので、あまり語彙力とか気にせず、うまかったら「うまい!」と言っています。

清水さん あんまり長すぎず、凝りすぎず、簡潔な文章で、誰にでも分かるということを心掛けています。初めは、自分たちのファン層、割と大人の男性に分かるようにと思っていたんですけど、全農さんとの活動を始めてからは、小さな子どもからご年配の方にも分かるように文章を作って伝えられるようにしようと心掛けるようになりました。

的場さん  確かに、私たちを見てくださる方も「全農の食の応援団」になってから、だいぶ変わった気がしています。

田中会長は今、全青協という5万5000人規模の大きなグループのトップですが、それをまとめることの苦労やリーダーシップについてお聞かせください。

田中会長 確かに約5万5000人いますが、土地が違えば育ちも違うし、作っている作物も違う。それを会長一人の力で統一するのは非常に難しいし、よくいう「トップダウン」というものは、やはり強制的になる。でも僕らの組織は「協同組合」、JAグループはお互い助け合う、ボトムアップの組織です。それぞれの個性が集まって僕のところに届いたときに、「みんなの意見だからこうしよう」と決める。その最後の一手は僕の仕事ですが、地域で活躍している人たちに声を上げてもらうことが一番大事だと思います。だから、リーダーが何かするというより、小さいリーダーをどんどん作っていきたいと考えています。

コロナ禍という特殊な時期のリーダーで大変だと思いますが、コミュニケーションをとるにあたって、工夫していることなどありますか?

田中会長 僕らは人と人とをつなぐ組織です。作っている品目は違うけれど志が一緒で、人と人とが交わり合って意見を交換して、切磋琢磨してきました。ですが、4月は非常事態宣言が出てそれができない状況の中、当初は非常に混乱しました。それでも、一番大事なのは種をまいて、農産物を作ること、それは絶対手を止めてはいけないと考えていました。そして、使えるツールはどんどん使っていこうと、今はWEBを活用しています。リモートで会議も飲み会もできる。何事もチャレンジして、まずはやってみて、失敗したら反省して直していく。トライ・アンド・エラーだと考えています。そうすることで、来年につながるはずだということを常に言っています。

的場さんも虹コンのリーダーですが、まとめあげるために工夫されていることはありますか?

的場さん 今お話を聞いていて、とても近いものがあるなと感じました。私は最初「私についてきな!」系になろうと思っていたんです。5万人に比べてしまうと12人って少ないですけど、やっぱりみんなそれぞれ考え方も性格も違っていて、思っている事ことも違ったりしているので、そういう部分をまとめあげるというわけでなく、いろいろ聞いてかみ砕いて最終的にジャッジをする。私たちのグループはみんなで決めているので、そこは違いますが、みんなの意見を尊重しつつ、ひとつにしていくっていう作業をやっているつもりです。なので、規模は違いますが、近いものを感じました。

田中会長 規模は関係ないですよ。やっぱり難しいですよね。まとめ上げるリーダーより、まとまるところにリーダーがいた方がいいと思います。自ら引っ張っていくやり方で成功している人もいるとは思いますが、12人の個性を互いに知って、自分たちの方向性を話し合える、そのフィールドがあることが、グループがまとまる一番のきっかけになるのではないでしょうか。JA全青協にも各県に会長と委員長が1人ずついますが、彼らに伝えているのは、「僕らが決めるんじゃない。皆さんたちも県のリーダーで、県にはたくさん仲間がいる」ということ。リーダーをどんどん刺激するのが僕の役割です。全国段階の組織が全部決めるのではなく、県で話し合った結果をどんどん僕に上げてきてくださいと伝えています。

的場さん 今のお話で、すごく学ぶものがありました。それこそ、県のリーダーがいるっていうお話は、私たちのグループは、メンバー1人1人にファンの方がいるので、そういうメンバーの個性をできるだけ尊重するというか、引っ張り上げるっていうのも、リーダーの仕事なんだなって、今改めて思い直した感じがして。ありがとうございます。

清水さんから見て、的場さんのこんなところがリーダーとして素晴らしいとかありますか?

清水さん 華鈴先輩は、本当に純粋なんです。華鈴先輩が言うなら間違いないって思えます。もちろん自分の意見もあるけど、華鈴先輩が向かってる方向は、虹コンにとってこれが絶対正しい形だという方向にちゃんと向かっているっていう信頼があるので、安心してついていけます。

的場さん それができるのは、メンバーが同じ方向に向いてくれるからだよ!

田中会長 なんだかいいですね(笑)。

今後、虹コンさんが「全農の食の応援団」として、今後こんな活動していきたい、こんな発信していきたいという希望はありますか?

清水さん 私は和歌山県出身で、和歌山市の観光発信人をやらせていただいているので、地元のおいしい食材などをもっといろんな人に伝えていけたらいいなと思います。メンバー12人いる中で、地方出身の子もたくさんいるので、それをアピールできたらもっと活躍の場が広がるんじゃないかなと思っております。

的場さん 本当に今回の活動は学ぶことがたくさんありすぎて。まずは、「食への感謝」が大きくなって、「いただきます」の意味をかみしめるようになりました!

田中会長 素晴らしい! 僕の一番好きな言葉が「いただきます」なんです。

 農業現場は、命を預かります。植物や動物を育てていくうえで、命というのはすごく大事です。実は土の中にもたくさん生き物がいて、土の中の生物、微生物も農業に非常にかかわりがある。太陽の陽を浴びながら水を吸収して植物は大きくなるし、牛や豚も農業分野で生産したものを食べて大きくなる。食の循環、生物の循環のお手伝いを農業者はさせていただいているように思います。

 農業技術は、農産物を作るうちのほんの数%です。あとはほとんど自然の力、それと、植物自体の力。それを僕らは「農業」という仕事でお手伝いさせてもらい、「いただきます」を作っています。

 皆さんのような若い世代、子どもたちに、「いただきます」の意味や、「食」の意味、当たり前だからこそ気づかない大切なことを、本当は僕ら生産者がどんどんアピールする必要がある。お二人が今回体験されて思ったことを、できる範囲で発信していただきたいですし、ぜひこれをきっかけに、地方に行かれた時は農作業をしている人たちに「こんにちは!」って声をかけてくれたら、とてもうれしいです(笑)。プライベートで旅に行ったりした時に、農業の風景を見て思い出してもらいたいと思いますし、同級生や友達と「いただきますって大事だよね」と言葉を交わす、その一言で僕らは救われると思います。

的場さん 今日のお話を聞いて自分たちが発信していかなければならない事がさらに明確に見えた感じもしますし、今やってることに+αでこういうことを届けていきたいという思いも、少し頭に浮かんできました。

清水さん アイドルと農業はなかなか普通結び付くことがないと思っていました。でも、誰かを喜ばせたいとか、おいしいって言ってもらいたいとか、そういう目的や達成感は通じるものがあるなと思いました。私たちも農業の大切さをこれからももっといろんな人に伝えていきたいと改めて思いました。

田中会長 誰かを喜ばせるためというのは、確かにそうだなと僕も思いました。やっぱり誰かのため、人のためにという根本に僕も気づかされましたし、今回とても刺激になりました。僕らも「食」を通じて感動したり喜んでもらえたりすることを、再度確認しながら農作業したいと思います。お互いの分野で努力し合い、普通ならば相まみえることのない「アイドル」と「農業」が、うまく力を合わせて、また違う形で感動を与えられたらいいなと思います。今日はありがとうございました。体調を崩さないように、おいしい国産農畜産物をいっぱい食べてください。

虹コン ありがとうございます! いっぱい食べます!

 

YouTube番組「全農presents届け!ファンファーム」はこちらから

https://www.youtube.com/playlist?list=PLNC9qLtMxKktDfRD1JUnGdbRcKpqLp7O-

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