特集

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【海外拠点便り】

 全農は海外ネットワークを活用した国産農畜産物の輸出拡大と、肥料・飼料原料などの安定的確保に取り組んでいます。 今号ではニューヨーク(アメリカ)、サンパウロ(ブラジル)、 ロンドン(イギリス)、北京(中国)の事業所を紹介します。


全農アメリカ株式会社

購買・販売両事業の北米戦略拠点

半世紀の歴史を糧に新たな可能性に挑戦

 全農アメリカ(株)は1965年に米国・ニューヨーク市に設立された全購連駐在員事務所を前身とし、半世紀以上にわたり北米で事業を展開しています。業務は、肥料原料の調達と、日本産農畜産物の米国向け輸出の二本柱です。

 肥料事業は、主にカナダ産のカリと米国産のリン安を買い付けし、日本へ輸出しています。また、海外農業や肥料情勢などの情報収集を行うとともに、肥料の安定調達に向けて海外取引先との関係強化に取り組んでいます。

 輸出事業では、日本産食品全般の市場開拓と販売に挑戦しています。当社の子会社P&Z FINE FOODS社を通じた和牛・米の全米各地への販売、青果物・鶏卵の試験輸入、茶のプロモーション活動などを広く展開しています。

 現在、米国はポストコロナに向けた移行期にあり、生活・経済活動は大きく変容しつつあります。この社会の変化を好機と捉えて、JAグループと海外をつなぐ事業の構築と発展に努めます。

現地社員
カナダ取引先の肥料倉庫

 
全農グレインブラジルホールディングス有限会社

ブラジル産穀物を集荷・輸出

飼料原料の安定供給を追求

 全農グレインブラジルホールディングス(有)は、飼料穀物のサプライチェーンの構築と、さらなる安定供給を図る目的で2015年に設立されました。17年には穀物集荷・輸出会社であるALZ社に資本参加し、アジア向けを中心とした穀物供給に貢献しています。

 ブラジルは世界有数の穀物(トウモロコシ・大豆)輸出国であり、今後も生産量および輸出量の拡大が見込まれています。農畜産物の生産量増加のポテンシャルは世界最大であり、今後、世界の食糧供給国としての存在感はますます大きなものになると予想されます。中でもトウモロコシと大豆は過去30年間で生産量と輸出量が大きく伸びており、今後も世界シェアを牽引すると見られます。日本は世界有数のトウモロコシ輸入国であり、その他の穀物についても輸入への依存度が高く、ブラジルは重要な輸入相手国であり続けることは間違いありません。さらなる飼料穀物の安定供給を目指し、日々邁進しています。

生産現場への生育調査
生産農家と現地社員

 
全農インターナショナル欧州株式会社

日本産農畜産物のおいしさをヨーロッパに発信

 全農の欧州における海外拠点は長い間、ドイツ・デュッセルドルフ事務所がその機能を担っていました。欧州連合(EU)による日本からの牛肉輸入解禁にともない、和牛の輸出拡大に向けて、2014年3月に全農ロンドン駐在事務所が設置されました。翌15年3月に現地法人である全農インターナショナル欧州(株)が設立され、現在に至っています。

 和牛・米を中心とした日本産農畜産物や、輸出専用日本酒ブランド「TOKYO Z1」、日本米を使用して英国で製造している「Komé Biru(米ビール)」などの加工品の販売促進を行っています。

 コロナ禍によって、英国では飲食店向けの食材販売が大きく減少するなど、深刻な影響が発生しています。その一方で拡大したホームデリバリー需要に対応するため、Eコマース向けの取り組みを強化しました。今後も英国・EUにおける日本産農畜産物の輸出拡大に向け、取り組みを強化していきます。

ロンドンの日系小売店で日本の青果物をPR
 
全農北京事務所

転機をむかえた老舗駐在事務所

 全農北京事務所は、1979年の中国の改革開放直後、80年に設立された(株)組合貿易北京駐在員事務所を起源とする、40年余の歴史を有する老舗駐在事務所です。

 かつては中国から日本へのさまざまな原材料、製品の供給基地として機能していました。その後、中国経済の伸長などによりその機能が減少しています。昨年、全農が上海に現地法人を設立し、経済活動において一定の役割を果たすこととなり、北京事務所は今後、役割を変えていくことになります。

 比較的日本人が馴染みやすい上海、香港、台湾とは異質な環境にある首都「北京」を肌で感じる拠点を持つことは非常に重要です。今後も北京事務所は中国の核心をウオッチしていきます。

事務所スタッフ
事務所が入居している北京発展大廈

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