特集

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畜産生産部

畜産事業の研究最前線 1

 全農は畜産事業において、飼料畜産中央研究所、家畜衛生研究所、ET研究所の3研究所を有しています。全農ウィークリーでは、全農が発行する畜産情報誌「ちくさんクラブ21」(隔月刊)と連動し、これらの研究所を連載で紹介します。初回は、飼料畜産中央研究所 養鶏研究室です。


飼料畜産中央研究所 養鶏研究室 鶏の能力を最大限に発揮する飼料開発へ

 茨城県つくば市にある飼料畜産中央研究所 養鶏研究室は、採卵鶏やブロイラーの新たな飼料開発の研究を通じて、養鶏生産者の生産性向上や経営安定化への貢献を目指しています。

長期飼育に対応した飼料の開発
養鶏研究室の研究員

 近年特に力を入れてきたのが、育種改良が急速に進んだ鶏の能力を最大限に引き出すための飼料の開発です。

 例えば採卵鶏は、産卵性能が向上し、従来に比べて飼育期間の延長が可能になっています。養鶏経営において長期間飼育できるとヒナの更新時期を延ばせるため、ヒナを購入する回数が結果的に減り、コストを抑えられるメリットが生まれます。

 一方で、産卵期後半における卵殻質の低下や過大卵の増加によるデメリットも発生します。これらの問題を解消するために、休産処理を実施するケースもありますが、鶏卵の生産が止まってしまうため、理想的な手法とはいえません。

 そこで現在取り組んでいるのが、休産処理を行わずに産卵成績や卵質を長期にわたって高く維持する飼料の開発です。実用化すれば、卵の出荷量と製品化率が増え、鶏群の更新を延ばせるようになります。近いうちに実現すると期待しています。

試験中の鶏の状態を確認
卵殻の色を測定

鶏ふん低減飼料の実用化

 また、養鶏経営において、最大の課題に挙げられているのが鶏ふん処理です。毎日発生する鶏ふんを処理するには多大な手間とコストがかかるため、鶏ふんが減れば大きなメリットになります。最近、当研究室とJA全農北日本くみあい飼料㈱とで共同開発し、同社から鶏ふん低減飼料の販売を始めました。同社の管内では好評を得ています。今後も現場で役立つ研究開発を行っていきます。

 一方ブロイラーの分野では、育種改良によって以前と比べて成長速度が大幅にアップしました。ブロイラーの1日の増体重は、2006年の56・6㌘に対して、16年は63・3㌘に達しており、現在も増加しています。

 育種改良に伴い、最適な飼料の栄養成分や飼養管理法も変わります。研究所では、育種改良の最新情報を入手し、鶏の能力を十分に引き出す飼料の開発と飼養管理技術の確立に取り組んでいます。

 

次回は、飼料畜産中央研究所 品質管理研究室を紹介する予定です。(10月頃掲載予定)

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