新たな園芸用殺虫剤 フィールドマスト フロアブル(R)販売開始
新規の作用機構でチョウ目害虫、キスジノミハムシ、既存剤抵抗性コナガなどに優れた効果
全農はジェネリック農薬以外で初めてとなる園芸分野での新規殺虫剤「フィールドマスト(R)フロアブル」を開発し、2025年3月17日にクミアイ化学工業(株)および日本農薬(株)の2社を通じて販売を開始しました。販売計画は、対象となる農作物の栽培面積約13万haに対して、初年度は1万ha弱、3年後には4万haを目指します。
本剤は、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリーなどのあぶらな科作物のコナガに卓効を示すことに加え、アオムシ、ハスモンヨトウ、ハイマダラノメイガなどの他のチョウ目害虫にも優れた効果を示します。また、ダイコン、カブなどで問題となるコウチュウ目のキスジノミハムシ、ハチ目のカブラハバチに対しても高い効果を有することが確認されています。特に園芸用殺虫剤として新規作用機構を有することから、既存剤に抵抗性を示すコナガなどにも問題なく使用することができます。本剤の特徴を次のとおり紹介します。

特徴1 新規の作用性と高い効果
本剤の有効成分であるジクロロメゾチアズは、園芸用殺虫剤として初めての作用機構(IRAC分類:4E)に分類されました。ジクロロメゾチアズを摂取した害虫は、麻痺(まひ)症状を引き起こし、速やかに食害が止まります。新規の作用機構であることから、既存の殺虫剤に抵抗性を示すコナガなどの難防除害虫に対しても卓効であり[図1]、ローテーション防除薬剤の一つとして使用することで、既存薬剤に対する抵抗性発達を遅らせることができます。農薬の公的試験である新農薬実用化試験では、多数の試験地において「実用性が高い」もしくは「実用性がある」と判定されており、全国各地で有効な事例が認められました。
特徴2 ミツバチや天敵などへの高い安全性
本剤はミツバチへの安全性が高いことが確認されています。また哺乳類、水生動物に対する安全性も高く、さらにナミテントウをはじめとする各種天敵に対する影響も小さいことが確認されています。
特徴3 幅広い登録作物
本剤は、結球あぶらな科葉菜類、はなやさい類、非結球あぶらな科葉菜類、レタス類の登録を有するため、マイナー作物を含めた幅広い野菜に使用できます。例えば、近年注目されているヨーロッパ野菜は日本で栽培する場合、使用できる農薬が少ないことが課題の一つでしたが、本剤がその課題解決の一助となることが期待されます。
全農では、現在、開発を進めているジクロロメゾチアズと他原体との混合剤も含め、本有効成分を含む農薬の供給を通じて日本の農業に貢献していきます。
フィールドマスト(R)フロアブルの登録内容や使用方法についてはホームページをご確認ください。
https://www.zennoh.or.jp/operation/nouyaku/fieldmast/index.html