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広報・調査部

プロフェッショナルを追う(9) JA全農営農・技術センター農産物商品開発室 大内 晴生(おおうちはるき)さん

先のニーズを見据え品種開発 種子の維持にも取り組む

 全農グループには専門的な事業に従事している職員がいます。今回はJA全農営農・技術センター農産物商品開発室の大内晴生さんに迫ります。


―キャリアについて教えてください。

 大学では植物の開花に関する遺伝子について研究していました。2019年に入会し、農産物商品開発室に配属されました。

―農産物商品開発室とは?

 国産農畜産物の生産維持や消費拡大のために、生産から販売まで一貫した商品開発と、省力化・低コスト化を実現する生産技術の研究・開発に取り組んでいます。新しい栽培技術や有望品種を検討する「栽培チーム」と、生産した農畜産物の分析をもとに技術開発・商品開発を行う「食品分析チーム」があり、私は栽培チームで水稲の品種開発に携わっています。

―主な仕事は?

 多収業務用米の品種開発と、原原種の維持です。品種開発では、「はるみ」のような当研究室で開発した良食味米品種の育成もありますが、主に農研機構や民間企業が開発した有望な多収業務用米品種の栽培性について評価を行い、品種・系統の選抜をしています。また、選抜した品種・系統を普及地域で栽培できるかの地域適応性評価試験も行っています。他にも選抜した品種・系統の小規模な試験栽培も行っていて、適切な移植時期や追肥のタイミングなども調査しています。

圃場で水稲の生育を確認する大内さん
 

―原原種の維持とは?

 原原種をもとに種子生産者は種子を生産し、生産者へ供給しています。原原種がなくなってしまうと、数年後その種子の供給ができなくなる可能性があるので、純粋な種子を維持・管理する必要があります。当研究室では全農が推進している「はるみ」や多収米を含めた5品種の原原種について維持・管理しています。原原種維持には通常とは異なる栽培管理が必要であり、コンタミ(異品種の混入など)や異株、施肥量にも気をつけなければいけません。品種開発と原原種の維持・管理は切っても切れない関係なので、品種開発のときには両方とも考える必要があります。

―心がけていることは?

 品種開発は一般的に5年から10年先の情勢を見据え、どういう品種が必要か考えながら開発していくことになります。気候変動のほか、新型コロナの流行など突発的なこともあるのでなかなか難しいですが、社会情勢や消費動向なども日々チェックするようにしています。全農は研究・開発するだけではなく、生産者へ普及する立場にもあるので、そのときのニーズに合った、生産者に喜んでもらえるような品種を開発できればと考えています。

水稲の穂の長さを計測する大内さん

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