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耕種資材部

正確なモニタリングと手軽な環境制御機器 全国で導入進む「はかる蔵」「うご蔵」 リバティーポートジャパン(株)

 施設園芸で環境制御を考える際、まずはハウス内がどのような環境にあるのかを把握する必要があります。そのために必要な資材として、全農では正確性の高いデータを手の届きやすい価格で測定可能な環境モニタリング装置「はかる蔵(ぞう)」を紹介しています。この「はかる蔵」と、複合環境制御機器の「うご蔵(ぞう)」はリバティーポートジャパン(株)が製造し、九州・東海地区を中心に現在全国で導入が進んでいます。


簡単設置で正確なモニタリング「はかる蔵」

 「はかる蔵」はハウス内の環境を簡単に測定することができる機器で、親機、子機からなります。観測地点が増えても子機の追加だけで対応できるので、安価に増設可能です。設置に特別な工事は必要なく、各機器に電源が確保できれば即使用できます。

 子機は気温・湿度・地温・日照・二酸化炭素(CO2)の測定が可能です。「はかる蔵」のCO2センサーの校正はセンサーを取り外してハウス外に一定時間置くだけなので、非常に容易に行えます。親機・子機共に複数の特許を取得しており、堅牢(けんろう)性・精度面などで他社との差別化を図っています。オプションでMETER(旧DECAGON)社のセンサーを採用した土壌EC(電気伝導度)子機や、土壌pF(土壌水分)、外気温などをラインアップし、現場のニーズに応じた機能を追加することが可能です。

 観測データはパソコンだけでなく、専用のアプリをダウンロードしてスマートフォンでも確認することが可能です。また日誌機能もあり、潅水(かんすい)・施肥・薬散・出荷実績・生育調査(写真・画像含む)などの記録データを蓄積するほか、過去の作業記録の確認や、従業員とのスケジュール共有が可能です。加えて日誌で蓄積したデータは農業生産工程管理(GAP)認証向けの機能として活用できます。

「はかる蔵」と土壌水分計
「はかる蔵」のアプリ画面

 
手軽な複合環境制御「うご蔵」

 「うご蔵」は「はかる蔵」に接続して使用することが可能な手軽な複合環境制御機器です。「はかる蔵」で計測したデータを基に、基本プランで最大12段階、高性能プランで最大48段階の自動制御が可能です。自動制御する設定値はアプリを通じてスマートフォンで設定できるほか、遠隔操作も可能になっています。現在、「うご蔵」では暖房機、光合成促進機、潅水装置、ミスト、循環扇などの制御に対応しています。

 近年、環境モニタリング機器や環境制御機器への関心が高まっています。興味はあるものの設置や使い方が難しそうということで敬遠したり、イニシャルコストが高いといった理由でまだ導入していない方には「ぜひ一度、はかる蔵、うご蔵をご検討ください」と薦めています。

「うご蔵」本体
 
篤農家の管理基準を見える化して底上げ

 「はかる蔵」の主な活用方法として取り組まれているのが、トマトやイチゴなどを栽培する際にベテラン生産者と若手生産者で導入してもらい、環境データや土壌のデータを共有できるようにして栽培を行うというものです。データを見える化することで、ベテラン生産者の環境データを目安として、若手生産者がその値に近づけるよう管理し、土壌水分もpFを測ることでデータを活用しての管理が可能となりました。その結果、収量の底上げを達成するということが各地で見られています。

 


 

生産者の目線で作り使いやすい機器を

リバティーポートジャパン(株) ⻆裕二社長

――「はかる蔵」開発の きっかけは?

⻆裕二 社長

 私が就農したのは2008年になります。新規就農で、大分県でイチゴを栽培しています。現在も圃場(ほじょう)の経営をしながら「はかる蔵」「うご蔵」の開発、販売を進めています。

 当時から環境モニタリング装置の存在は知っていましたが、価格が高く、パソコンを圃場に設置しておく必要があるなど導入のハードルは低くはありませんでした。比較的早い段階で収量を上げることができるようになり、後輩に指導することも増えましたが、感覚で伝えるのは難しく、これを数字で伝えられればお互いがスムーズに情報を認識できるなと思いました。環境モニタリングに必要な品質と機能、それを導入しやすい価格帯で作って生産者のレベルを底上げしたい。これが開発のきっかけになります。

――リバティーポートジャパンの製品の強みは?

 特に湿度センサーの正確性には自信があります。環境制御と言われると飽差管理と言う言葉を多く聞くようになりましたが、そのためには正確な湿度を継続して測定する必要があります。センサー周りの構造を工夫して正確性の高いモニタリングが可能になっています。また、土壌水分計も自社で製造しており、これを使うことで潅水の指標をデータで共有できるようになっているというのも特徴です。

――今後の展開を教えてください

 いろいろと考えていることはあるのですが、労務管理ソフトの開発・提供を進めたいと思っています。「はかる蔵」と同じプラットフォームで、生産者の目線で作った使いやすいものを提供して農業の底上げに貢献したいですね。

ハウスで管理作業をする⻆社長
※「はかる蔵」「うご蔵」の問い合わせは、全農 耕種資材部 園芸資材課(TEL:03-6271-8310)

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