「グリーンメニュー」を モデルJAで実践へ
環境調和型農業の技術・資材を体系化
全農は生産現場で実践する環境調和型農業の技術・資材を体系化した「グリーンメニュー」を作成しました。2023年度はモデルJAで実践、導入効果を検証し、順次全国のJAで水平展開・全国普及に取り組みます。
環境調和型農業に取り組む背景
近年、持続可能な開発目標(SDGs)や環境を重視する国内外の動きが加速しており、その動きに呼応して、農林水産省は食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーション(新たな仕組みや習慣を取り入れて、革新的な価値を創造すること)で実現する「みどりの食料システム戦略」(以下みどり戦略)を21年5月に策定しました。
JAグループでは第29回JA全国大会(21年11月)において、環境調和型農業を推進していくことが決議され、全農でも、環境調和型農業の実現に向けた対応の基本的な考え方(以下5点)を整理し、生産・販売の両面から取り組みをすすめることとしました。(22年3月臨時総代会決議)
環境調和型農業の実現に向けた基本的な考え方
(1)CSR・SDGs・みどり戦略・脱炭素化などを包含する環境対策であり、全農グループがおこなう一連の事業活動を通じた一貫性があり総合的な取り組みであること (2)JA・連合会の役割分担にもとづく、JAグループとして一体感のある取り組みであること (3)農業分野での裾野を広げていくため、環境調和型農業等に関する本会のこれまでの取り組みと連続性があり、農業現場の実態を踏まえた段階的な取り組みであること (4)全国的な輸送効率化や、地域の特性・実情を踏まえた直売所等での地域循環流通など、多様な取り組みであること (5)行政や研究機関、他団体・企業などと連携した取り組みであること
グリーンメニューの取り組み
耕種事業における環境調和型農業の実現に向けて、環境負荷を軽減し、かつトータルコストの低減等によって農業経営に貢献できる技術・資材の普及をすすめる必要があります。こうした視点で技術・資材を体系化した「グリーンメニュー」を策定し、実践と検証をすすめながら、全国への普及を図ります。
「グリーンメニュー」は、国のみどり戦略の取り組みに呼応し、化学肥料使用量低減、化学農薬使用量低減、温室効果ガス削減の三つの視点でメニューを体系化し、環境面での負荷低減を推進します。さらに、これら「環境的要素」に加え、物財費の削減や労力軽減、生産性の向上などの「経済的要素」、地域貢献などの「社会的要素」も考慮した内容とし、生産者・JAが経済的にも社会的にも持続可能なメニューとして展開します。
グリーンメニューのすすめ方
23年度は、全国で約50のモデルJAを設定し、「グリーンメニュー」の実践・検証を行います。モデルJAでの実践事例を収集し、実践の手引を作成後、作成した手引を活用して順次全国のJAに「グリーンメニュー」を水平展開します。「グリーメニュー」を活用した栽培・営農体系を確立するためには、今後、県行政・試験場の協力が不可欠になります。これら機関と連携のもとで地域・作物ごとに現地での実証を行い、JA栽培暦に反映することにより、環境に調和した地域農業や地域社会の実現に取り組んでいきます。
グリーンメニューの事例紹介