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広報・調査部

【インタビュー】みかんに人生を捧ぐ 清原優太さん ㈱みかん代表取締役

みかんの生産・流通・消費の懸け橋に

 日本人の食卓に欠かせない「みかん」。みかんに魅せられ、「株式会社みかん」を起業し、「日本みかんサミット」も主催する清原優太さんに、会社のこと、みかんサミットのこと、みかんへの思いなどをお聞きしました。


きよはら・ゆうた 1993年、東京都生まれ。父親の転勤でインドネシア、米国で暮らす。東京大学経済学部在学中の2014年1月に「東大みかん愛好会」を立ち上げ、減少しているみかんの消費を増やすことを理念に活動を始める。16年5月に「株式会社みかん」設立、代表取締役。

 みかんは、生まれつき好きです。常にみかんが家にある環境にありました。実は僕、生まれて何カ月かぐらいでインドネシアに行きまして、そのインドネシアで、初めてしゃべったインドネシア語がオレンジジュースだったみたいです。それだけ柑橘(かんきつ)は生まれたときから好きで、その中でもみかんが好きでした。

みかん大好き人間がサークル、会社設立

 みかんが好きだったので、大学に入ったら、みかんサークルをつくりたいなと思い、ネットで呼び掛けました。みかんに関して、いろいろ調べていたら、どうやら日本のみかんの消費量が7割減という事実に気づいて、そこで日本のみかんの消費量を増やすというのを理念に大々的に掲げたら、さらに人が集まって消費量を増やすサークルになっていました。

 日本のみかんの消費量を増やすんだというときに、話題を巻き起こす活動であったり、メンバー自身が楽しみながら学ぶ、それを発信する活動であったり、それで全ての産地を応援するという。例えば、佐賀県の太良町というところと連携して、太良町のみかんのシンボルマークのコンペをやったりだとか、あとは学園祭で蛇口からみかんジュースが出る装置を置いたりだとか、JTBさんと連携して小田原でみかん列車を走らせたり、そういう企画を動かす活動ですね。格好よくいうと、みかんの広報企画みたいな活動です。それ以外にも、夏合宿とかで産地の現場に行って摘花のお手伝いをしたり、それ以外にも個々人がお手伝いに行ったりしました。

 みかんにずっと関わっていきたいという思いと、自分が今後、みかんをより極めていく団体というか、法人格として会社を持っておこうみたいな形で2016年5月に「株式会社みかん」を立ち上げました。

産地、流通、消費者など多くの人を結ぶサミット

 株式会社みかんでやっていたのは、日本みかんサミットです。全国のみかん産地を回るうちに、産地は当然ライバル関係があってしかるべきものだと思うのですけれども、これだけ消費が減っているし、生産面も高齢化とか、人手不足とかある中で、もっと連携協調できることがあるのではないかと思いました。農家さんは忙しいから、なかなか出掛けていけなくて、そうした産地のつなぎ役というのが必要なのではないかと思って、2016年9月に鹿児島の長島町で第1回日本みかんサミットを開きました。

 1回目は産地をつなぐんだぐらいに思っていたのですけれども、2回目(17年9月、和歌山県湯浅町)になって、よくよく考えてみると結構研究者もいるし、市場の人もいるし、小売店、果物専門店もいるし、消費者もいるし、そういう産業としての構造があって、それが一堂に会する場として2回目をやりました。今年5月に3回目を愛媛県宇和島で開く予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大で、8月末に延期しオンラインで行います。

 今、「サードウェーブ(第3の波)みかん」みたいな概念を提唱しています。柑橘はすごく多様だと思っていて、品種があり、産地があり、味があるのに、それが全然伝わっていないというのはすごくもったいないなと。ファーストウェーブが柑橘栽培の産地化(JAの産地化)で国内の代表的果物の地位を確立した時代、次は光センサーが導入されて、糖度という軸で安定した供給が可能になった時代。次は糖度だけじゃなくて甘い、酸っぱいもいろいろあるだろうし、品種だとか、自分の推し品種だとか、推し農家さんとか、推し産地だとか、そういう多様な軸というのが伝わる時代が来てもいいのではないのかなというのを、「サードウェーブみかん」としています。

 柑橘の多様性を伝えたい、直近で何をやっていくか。「香酸柑橘サミット」があるなと思っています。香酸柑橘は、あまり表に出ていないけど、味が違うし、例えば山口の「長門ゆずきち」とか、宮崎の「へべす」だとか、あと有名なのは「すだち」とか「かぼす」とかですよね。それが今、これだけレモンブームが来ている中、地ビールとかが来ている中で、ちょっと火が付けばいくんじゃないかなと思っています。完全に消費者向けなのですけれど、これに特化したサミットを、今年10月上旬に計画しています。

産地横断ブランドでリレー出荷も構想に

 やりたいことはいろいろあるのですけれど、長期的には柑橘産業でキウイフルーツのゼスプリみたいな会社にしたいなと思っています。産地というのは、僕は決して否定するものではないのですが、産地横断的なブランドというのは、もしかしたらできるのではないかと思っていて、みかんという軸で、全国の産地共通でブランド、全国のいろんな産地から出荷いただいて、それを一つのブランドにまとめ上げるみたいなことをできるのではないかと思っています。

 柑橘に限らずですが例えば、香酸柑橘も、「かぼす」「すだち」の違いがあまり分かっていない人が多いと思っていて。というのは、「すだち」は徳島がやって、「かぼす」は大分でやるみたいな、横軸がなかったというときに、産地リレーをしたら旬の物が出せますし、JAさんと一緒に統一的な基準を作っていって、全国のこの基準に該当する物を全国の産地からリレーで出していただくみたいなのは、あり得そうだなと思っています。その方が、マーケティング、プロモーション面でも強いし、いろんな物を、旬の物をしっかり出せるというのは面白いのではないかなと思って、その方向にちょっとひねりたいなと思っています。

 


8月23~28日「日本みかんサミットオンライン」開催

 日本みかんサミットオンライン実行委員会は8月23~28日の6日間、「コロナ時代の柑橘産業を考える」をテーマにオンラインでパネルディスカッションを行います。

 オンラインサミットは午後7時から約1時間30分。日替わりで①消費②産地③経営④生産者⑤流通販売⑥人材確保―― のテーマで、生産者・JA・団体、流通・加工・販売など業界、研究者、消費者などがパネルディスカッションを行います。

視聴、参加申し込み、問い合わせはこちら

https://mikan-summit-online.peatix.com/view


 

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