県本部だより

伝統の味、品質高め次代につなぐ

2025.12.22
岐阜県本部

岐阜県の誇り ― 柿の魅力とブランド力で世界へ

 岐阜県本部は、「富有柿」発祥の地と広く知られる柿の産地としての強みを生かして、品質向上とブランド力強化に向けたさまざまな取り組みを進めています。


 岐阜県では農業技術センターと連携し、消費者ニーズに応える柿の新品種の研究を進めています。糖度や食味に優れた高品質な柿の生産体制を整える一方、近年の高温による着色遅れには過去の出荷データを活用し、ピーク時期を予測。メディアを通じて情報発信を行い、生産者と消費者の購買タイミングのズレをなくし、安心を届けています。
 販路拡大にも積極的に取り組み、オンライン販売やふるさと納税に加え、香港・タイ・シンガポールなど海外市場への輸出も進め、岐阜県産柿の魅力を世界へ発信しています。

タイでの「天下富舞」PR販売

お墨付き早秋柿 ― 秋雨が描く、黒のおいしさ

 全国で親しまれる早秋柿・太秋柿・富有柿に加え、岐阜県ならではの特別な柿もあります。
 その柿は、日当たりの良い圃場(ほじょう)で、糖度がのる10月中旬ごろに秋雨を受けると、果皮が墨を塗ったように黒く変化します。特定の気象条件だけで育つ果肉は格別のおいしさ。岐阜県ではこの希少な柿を「お墨付き早秋柿」として販売しており、年によっては全く収穫できない“幻の柿”です。

お墨付き早秋柿

天下富舞 ― 岐阜が誇る最高級ブランド柿

 県農業技術センターが長年研究し、2017年に品種登録した「ねおスイート」の中でも、特に高品質なものに与えられるブランド名が「天下富舞(てんかふぶ)」です。
 2016年の初せりでは、糖度25度の柿が2個30万円(税別)という高値を記録。2025年には過去最高額となる2個111万円(税別)で取引されました。
 名前は織田信長公の「天下布武」にちなみ、この柿を手に取った全ての方々に「富が舞い込む」ことを願って命名。厳重管理で生産され、国内外で高い人気を誇ります。

111万円で取引された「天下富舞」
「天下富舞」初せり 落札者と関係者とかき娘

袋掛け富有柿と果宝柿 ― 選ばれし1%、上品な甘み

 夏場に袋を掛けて育てる「袋掛け富有柿」は、太陽光や寒暖差を抑え、上品な甘みを持つ真っ赤な果実に育ちます。さらに、大きさ・色・甘さ・成熟度・品位の5つの基準を満たしたものだけが「果宝柿」として出荷されます。その割合はわずか1%未満。まさに幻の逸品です。
 岐阜県は次世代へ柿文化をつなぐため、スマート農業技術の導入や若手農業者の育成、病害虫防除試験にも注力。気候変動に対応しながら、「岐阜の柿」を守り、進化させる挑戦を続けています。

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