「農家の嫁」、アマゾンに行く
COP30で「エコフレンドリーファーマーズ宣言」
全農が10月28日に開催した「お米の流通に関する有識者懇話会第1回 生産者に聴く」にご登壇いただいた、元NPO法人田舎のヒロインズ理事長・大津愛梨さん。農業と環境の双方に精通した視点から、懇話会でも多くの示唆をいただきました。今回は大津さんから、昨年11月にブラジル・アマゾンで開催されたCOP30への参加レポートを寄稿いただきました。ぜひご一読ください。

世界200カ国が参加 最新環境技術も展示
農業に従事していると、地球温暖化が着実に進んでいることを肌で感じずにはいられません。ただ問題が大きすぎて、勉強するにも行動するにもどこから手をつけて良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
私は大学と大学院で環境問題の勉強をし、在学中に同じキャンパスで勉強をしていた「農家の後継者」を射止めたことで「農家の嫁」になりましたので、就農当初から温暖化防止は意識していました。最近では「環境おばちゃん」的な立場になり、COP30という国際会議に参加する機会を頂いてブラジルまで行ってきましたので、その報告をしたいと思います。
COP(コップ)とは、国連気候変動枠組条約の締約国会議のこと。難しい名前ですが、つまりは地球温暖化を防ぐ枠組みについて世界各国が集まって議論する場のことです。30回目となる2025年の会議はブラジルのアマゾン地方で開催され、世界中から約200カ国の代表団が参加しました。
ニュースなどで報道されるCOPの様子は、各国政府の代表が会議室で難しい顔をしながら交渉している模様ではないでしょうか。実際、交渉は大変難航したそうで、期待されていたレベルの合意には至りませんでした。
しかし、現地のCOP会場はもっとずっと友好的で、ほとんどお祭り。「ブルーゾーン」「グリーンゾーン」「アグリゾーン」という3つの会場があり、そのうち、アグリゾーンはCOP30で初めて設置されたそうです。農業分野に関する環境技術の研究やサービスやプロジェクトなどが集結していて熱気にあふれていました。屋内ではカーボンネガティブをうたったコーヒーやワイン、サトウキビからできるバイオエタノールで走るハイブリッド車、熱帯雨林の再生を目指す育苗技術などが展示され、屋外ではアグロフォレストリーの試験栽培などが見学できます。

農業から環境保全をアグリゾーンで宣言
アグリゾーンへの参加は広く世界から公募され、400以上のセミナー等が催されました。私の他、半農半歌手のYaeさん、蓮葉果紅社の成瀬久美さん、私たちのブラジル訪問を支援してくださった(株)Freewillの役員・西村勇哉さんの合計4人で「エコフレンドリーファーマーズ宣言」を企画したところ、採択された次第です。
ステージでYaeさんが日本の民謡を感じさせるオリジナル曲を歌うと、自然と人が集まってきました。注目を集めたところで、「人は皆、生きるために食べます。その食べ物は誰かが作らなければなりません。食べ物をつくる農業という営みを、地球温暖化の原因だと悪者にするのではなく、農業を営むことで環境が良くなっていく社会を目指し、私たち農家自身が行動を起こし始めることをここに宣言します」という宣言文を読み上げました。
その後、日本国内外の取組み(政策や技術)を登壇者が紹介し、最後にYaeさんが再び登場。ブラジル北部の有名な曲を歌い出すと、客席の人もスタッフの人も踊り出し、大いに盛り上がりました。目指しているのは「1人の100歩より、100人の1歩」。世界中で農業者たちが自分たちにできる小さなアクションから始めたら、未来が少し明るくなるかもと思います。


農業通じ温暖化防止 生物多様性の実現へ
その数日後。今度はブルーゾーンと呼ばれるメイン会場内で、農水省主催のセミナーに登壇しました。タイトルは「ネイチャーポジティブ社会への変革」。温暖化防止と生物多様性は相反するものではなく、両方を目指していくべきもの、という視点からのセミナーでした。
2027年に横浜で開催されるグリーンエキスポは、単なる植栽の美しさを目指すものではなく、里山や生物多様性にまで視野を広げたイベントにするそうで、「農業を営むことで温暖化防止(温暖化ガスの吸収+化石燃料の削減など)と生物多様性の下支えの両方を実現していきたい」という意思表明をしました。







