特集

特集
経営企画部

JAアクセラレーター第3期 スタートアップ企業とJAグループが食と農、くらしの未来を共創

9社が成果発表

 AgVenture Labは11月11日、「JAアクセラレーター第3期」の成果発表会(デモデイ)を開催しました。


 第3期のアクセラレータープログラムは211件の応募から採択された、食・農・くらしに関わるさまざまな社会課題の解決を目指すスタートアップ企業9社をJAグループで集中的に支援していく取り組みです。採択された各企業には農林中央金庫と全農の職員が約半年間伴走者として寄り添い支援し、今回の発表会で成果を発表しました。

成果を発表した9社代表と農林中金・奥理事長(後ろ左)、全農・野口理事長(後ろ右)
 

 (株)Ciamo(シアモ)は「廃棄物で作る『光合成細菌』で持続可能な農業と水産養殖の実現」をテーマに、廃棄物となっている焼酎かすを利用した光合成細菌の培養キット「くまレッド」を開発、研究しています。光合成細菌を誰でも簡単に培養でき、また従来製品の5分の1のコストで安価に普及していくことを目指しています。プログラム期間中に約30の組織との面談を実施し、12カ所で実証実験を実施しました。

「くまレッド」の実証実験について発表する(株)Ciamoの古賀代表
 

 (株)地元カンパニーは「ストーリーを流通させる『地元のギフト』」のテーマで、作り手や産地のストーリーを前面に出した、社会性のあるカード式のカタログギフトの製作・販売を行っています。JAグループと連携して掲載商品の増加、ギフト開発に取り組み、JAマインズ(東京都)農産物直売所の商品やJAタウン出品商品(東京都本部)のカード化が実現しました。

 (株)エアロネクストは、ドローンを活用したさまざまなサービスの提供による低空域の経済化を目指しています。期間中には複数の自治体と、ドローンと陸送を組み合わせた新しい物流インフラの構築に取り組み、また日本初のドローンと貨客混載を組み合わせたリレー配送を実施しました。今後はJAグループの保有する多くの施設などをドローン物流の起点となる「ドローンデポ」として活用するなどの連携を目指したいと発表しました。

 KAERU(株)(カエル)は、高齢者の記憶力や認知機能を補うサポートアプリとアシスタント機能付きのプリペイドカード「KAERU」を開発し、誰もが安心して買い物を楽しめる社会の実現を目指しています。プログラム期間中はJAはだの(神奈川県)でのセミナーを実施しました。今後も高齢化の課題に向き合うパートナーとして、組合員の約半数が高齢者であるJAグループと連携していきたいと発表しました。

 EFポリマー(株)は、果物の皮などの生ごみを原料に、干ばつや土壌劣化の問題を解決する100%オーガニックのポリマーを開発しています。期間中は北海道から沖縄まで、異なる環境の6都県・約10カ所で実証実験を実施し、ポリマーにより土壌中の肥料成分を保持できることを確認しました。また農業だけでなく、生理用品や保冷剤などの工業製品への使用にもつながりました。

 (株)MISOVATIONは、日本の伝統的発酵食品であるみそ汁に栄養学の考え方を掛け合わせた完全食みそ汁を開発しています。(株)全農ビジネスサポートが開発した塩分ゼロの大豆醗酵食品「発酵そみファ」と日本各地のみそや野菜を使用し、地域性があり、ブラッシュアップした完全食みそ汁「MISOVATION」の販売を開始しました。原料として使用している冷凍野菜の国産化率の向上にもチャレンジしていきたいと発表しました。

 エンゲート(株)は、アスリートとファンを直接つなぐギフティングSNSの開発・運営を行っています。地域の特産品による「応援」をテーマにした実証実験を行い、横浜マリノスチアリーディングチームにより、神奈川県本部の「ぎゅっと、神奈川みかん」ジュースのPRが実現しました。JAグループ各組織がスポンサーをしているチームとエンゲートに加入しているチームの多くに重なりがあり、その他複数県のJAグループ組織との連携・特産品のPRに向けて検討中です。

 東京ロボティクス(株)は、力制御技術を生かした人間共存ロボットの開発を行っています。選果場などの現場における課題開発に向け、グリッパ、移動台車、昇降機を組み合わせた「モバイルグリッパ」を開発し、JAさがみ(神奈川県)のトマト選果場で重労働負荷軽減に向けた検証を実施しました。今後は農業現場だけでなく、工場や倉庫などへの展開も目指していきたいと発表しました。

モバイルグリッパと東京ロボティクス(株)坂本代表
 

 (株)事業革新パートナーズは、植物や樹木の20%を占めるヘミセルロースを原料とした100%植物由来の生分解性樹脂「HEMIX」の開発・製造を行っています。ヘミセルロースは世界中で年間10億トン以上発生する未利用資源です。期間中は多くの原料の評価を行い、特にもみ殻には非常に多くのヘミセルロースが含まれていることが分かりました。今後は被覆肥料の被膜殻への活用に向けて、開発を進めていきたいと発表しました。

JA全農の伴走者の声

東京ロボティクスの伴走者
石原直樹さん(本所 財務部)
 農業に一切関わったことのないスタートアップ企業の伴走者をすることは、気付きと学びが多い貴重な経験となりました。「JAグループ×スタートアップ企業」により、新たな価値が生まれることを実感しました。農業現場での人手作業は多種多様です。生きた現場の声に対し、的確に応えられる新たな技術が近い将来、活躍する日を期待しています。

 

地元カンパニーの伴走者
酒巻岳仁さん(宮城県本部 畜産部)
 国産農畜産物で、消費者をワクワクさせる気持ち、また生産者へ喜びを伝える、そんな仕事をしていくべきだと改めて実感しました。現職場とは違った視点から販売へのアプローチを経験できたこと、さまざまな人脈が築けたことは人生の宝です。

 

EFポリマーの伴走者
吉政弘基さん(山形県本部 生産資材部)
 「できる」を探しまわってあっという間に終わってしまった半年間でした。通常業務では経験できないスピード感や刺激を通して、成長を実感でき、さらに充実した日々を送ることができました。

 

当日の動画はこちらからご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=fwJ17SRXZF4

カテゴリー最新記事

ページトップへ