特集

【「農家の嫁」大津愛梨氏、アマゾンに行くVol.2】日系移住地トメアスに学ぶ持続可能な農業モデル

2026.03.09

 熊本県南阿蘇村で家族と稲作とあか牛の繁殖をしている「農家の嫁」、大津愛梨さんが、昨年11月にアマゾン(ブラジル)で開催された国際会議に参加後、アマゾンのアグロフォレストリーを見学した時のレポートです。今回は農村視察編(第一報は2月9日号)。


 COP30(国連気候変動枠組条約の締約国会議)に参加するためにブラジルまで行ったレポートの続きです。「せっかく地球の裏側まで行ったのだから、農家のはしくれとしては農業の現場も見てみたい!」と思い、農村視察を決行しました。

コショウ単一栽培から混植農法に移行し活気

 COP30の会場となったベレン(州都)から車で3時間弱(180km)のところにあるトメアスという田舎町へ。日系人の移住地として有名で、現在も多くの日系人が暮らしています。2泊3日の滞在中、ずっと日本語で過ごしていたので、一体どこにいるのか分からなくなりそうでした。

 1950年代には世界的なコショウ産地として大発展を遂げたトメアスですが、60年代後半にコショウがほぼ全滅。その反省から単一栽培(モノカルチャー)をやめ、コショウ、カカオ、アサイー、コーヒーなど数種類の樹木を混植する農法へ移行しました。これが「アグロフォレストリー」と名付けられ、持続可能な農業モデルとして世界的に注目されているのです。

日本の「道の駅」を参考に作られた直売所
トメアス農協の組合長ご夫妻と皆さま(右から3人目が大津さん)

選果・加工施設が充実 アサイーなど加工出荷

 行く前に文献やインターネットでは調べたものの、やはり「百聞は一見にしかず」。このレポートを読んで興味を持たれた方がいらっしゃれば、ぜひ実際に訪ねていただきたいです! 

 何が違うって、まずは風。そして匂い。人とのご縁。「アマゾンのアグロフォレストリー」と聞くと、熱帯雨林や密林を想像しますが、実際には家屋と隣接する農場(果樹園)が広がる開けた農村地帯。林内に足を踏み入れた途端、スーッと涼しくなりました。アマゾンは11月でも30度を超える暑さだったのですが、さまざまな高さや種類の木々が植えられているおかげで、心地いい風が吹いているのです。最近、日本でも人気が出てきたアサイー(カフェなどでフルーツをあしらったアサイーボウルとして人気)はヤシ科の植物。高さ5〜20mにもなる木の上に実をつけ、その果実は年間を通して収穫できます。JICA(国際協力機構)の支援を受けた日系の農協は立派な選果・加工場を持っており、アサイーをペースト状に加工して国内外に出荷しています。モノカルチャーではないことで生物多様性の保全ができる地球に優しい農法ですが、「日陰で作業できる」ため、労働環境としても優しい農法だと感じました。

混植しているアグロフォレストリー
アサイーの実

観光や加工品の開発も 意欲あふれる農家女性

 アグロフォレストリー農法によって通年出荷が可能になった上、加工まで手掛けているため、トメアスの農協は業績が近年右肩上がりとのこと。そのため、後継者問題もあまりないと、組合長のオッパタさんがおっしゃっていました。

 彼の娘さんは20代の農業女子! 親元就農をする時に補助金を活用して導入したトラクターにも乗らせてもらいました。これからはツーリズムも手掛けたいと目をキラキラさせて語っている横で、私と同年代の組合長夫人は、女性農業者の仲間たち(いわゆる農協の婦人部)と共に、小さな加工場で自分たちの手でチョコレートを作るプロジェクトを始めたと、同じく目がキラキラ。

 他にも、婦人部の皆さんが日本に来た時に視察した「道の駅」を自ら開設した施設を見学したり、トメアス市の市長さんや議員さんに会ったり、移民1世の方のお話を聞いたり、移民資料館にお邪魔したりと、この誌面では到底ご紹介しきれないほどの体験をした2日間でした。

 特に印象的だったのは、とにかく皆さんが明るくてエネルギッシュなこと。朝7時から視察が始まり、夜は懇親会まで開いてくださり、一緒に渡伯していた半農半歌手のYaeさんが歌うと、「次はカラオケに行きましょう!」とのお誘い。勢いでついていったら、なんと深夜過ぎまで盛り上がり、まさかアマゾンでカラオケに行くとは思っていませんでしたが、楽しい農業者交流となりました。

アサイーをコンテナで出荷
トラクターにも乗せてもらいました
トメアス農協の皆さまへ、石川佳純カレーと農協ごはんをお渡ししました

第一報(2月9日号): 「農家の嫁」、アマゾンに行く|JA全農ウィークリー

カテゴリー最新記事

JA全農ウィークリー
記事を検索する 検索窓を閉じる
  • 掲載年月日
  • 地域
  • 組織名
  • キーワード