特集

【意見交換会】加工用米、協業軸に安定供給

2026.04.20
米穀部

日清食品×JA秋田おばこ×全農

 全農は3月、JA秋田おばこ、加工用米の実需者である日清食品㈱と産地・事業者双方にとって持続可能となる事業展開に向け、意見交換会を開催しました。産地・メーカー・流通といった各立場から現状や今後の展望について意見を交わし、将来に向けて有意義な場となりました。


加工用米をテーマに現状や展望などを話し合った意見交換会

【第1部】加工用米をめぐる〝現状〟の共有

カップライスの販売状況、需要動向の変化/消費者の反応

日清食品(深井雅裕常務)

 カップライス市場は右肩上がりで成長し、令和7年7月に「最も販売されているインスタント味付きカップライスブランド」として「日清カレーメシ」シリーズがギネス世界記録に認定されました。その背景として、タイムパフォーマンスを重視する消費者の増加が挙げられます。今後は海外進出も強化することで、カップ麺ではなく、「カップライスの日清食品」と呼ばれる日も近いと感じています。

日清食品・深井常務(左)と日清食品HD・舟根CSCO

加工用米の集荷・作付け状況/産地としての課題

秋田おばこ(齊藤武志組合長)

 6年産米の出回りから主食用米が高騰したことにより、加工用米の生産者手取りが相対的に低い状況となりました。そのような中、7年産ではJA秋田おばことして、主食用米と加工用米の生産者手取りの平準化を実施しました。6年産より数量は減少しましたが、日清食品との顔の見えるつながりもあったことから、加工用米の供給を継続することができました。

全国的な加工用米の作付け・販売状況

全農(金森正幸常務)

 国が公表した各品目の7年産作付面積のうち、加工用米は前年比▲6000㌶となりました。集荷環境は厳しかったものの、日清食品向けの7年産需要数量に応えるべく集荷に努めた結果、前年産比+130%となり、伸び続けるカップライス需要に応じた供給を果たすことができました。

【第2部】安定供給に向けた〝中長期計画〟と展望

カップライスの今後の生産計画/需要拡大・工場体制

日清食品HD(舟根宏道CSCO)

 令和7年6月、滋賀工場を本格稼働させて、カップライスの製造を増やしています。8年度も新製品を継続的に発売することで、カップライス事業を強化する予定です。一方で、消費者のニーズに合わせて、都度、製造計画を立てているため、多少の需要のブレについても一定は調整いただきたいと思っています。

全農・金森常務(左)とJA秋田おばこ・齊藤組合長

加工用米8年産の作付け計画と今後の地域の展望

秋田おばこ(齊藤組合長)

 8年産以降も実需者とつながっている加工用米の生産は必須であると認識しています。一方、管内では組合員の高齢化が進んでおり、特に小規模経営は厳しい状況となっています。今後も主食用米と加工用米の平準化に取り組みながら、引き続き実需者と連携した取り組みを実施していきたいです。

米流通への正しい理解醸成

全農(金森常務)

 メディアに取り上げられることにより、消費者の米への関心が高まっていると感じています。その中で、精米や米加工品がどのようにして消費者に届くのか、十分に理解されていないことが明白になってきました。来年度以降、理解醸成の取組みを充実させることで、持続可能な農業と食を提供していきたいと思います。

【第3部】新たな価値の共創

スケールメリットを生かした協業

日清食品HD(舟根CSCO)

 消費者のニーズをふまえた上で、生産者が米を供給したいと思うような商品を製造していきたいと思っています。また、米だけでなく、園芸品目などでの協業も取り入れることにも関心があります。日清食品としてのスケールメリットを生かして、需給緩和の局面で、余剰分を日清食品が購買するといった調整弁のような機能を発揮することにより、生産現場を支えることができるのではと考えています。

生産現場としての品質への誇り

秋田おばこ(齊藤組合長)

 JA秋田おばこ管内は豪雪地帯であり、水不足の影響は受けにくい産地です。また、カントリーエレベーターやライスセンターなどの施設も整っており、品質には自信があります。今後も、高品質な米を継続的に実需者へ供給していく責務があると感じています。
 日清食品との交流を記念して、秋田県のブランド米である「サキホコレ」を使用した製品の販売などがあると、生産者の加工用米生産に対する意欲向上につながると思います。

生産者と実需者の懸け橋となるために

全農(金森常務)

 加工用米については、加工食品メーカーでの製造原価に直結することから、購入いただける価格水準がある程度決まっています。その中で、どうすれば生産者が作付けを持続できるかという点も本会として重視しています。双方の間、すなわち「懸け橋」としての機能が見える品目だからこそ、このような意見交換の場を今後も大切にしていきたいと思います。

クロージング

 本日の意見交換を通じて、7年産米を取り巻く厳しい環境や、その中で浮き彫りとなった課題、そして8年産以降を見据えた中長期的な展望について、それぞれの立場から率直な意見を共有することができました。特に、「価格」だけでなく「価値」を共に創り、持続可能な米生産と新たな食文化を築いていくことの重要性について認識を共有できたことは、大きな成果であったと感じています。
 本日の議論をこの場限りのものに終わらせることなく、今後の具体的な取り組みや連携へとつなげることによって、生産現場が抱える将来的な不安を解消し、安定した米の供給および消費拡大を実現していきます。

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