代表理事理事長 あいさつ
“つくる”“とどける”“つながる” 培ってきた力に磨きをかけて

はじめに、会員JAの皆さまには、全農の事業・サービス全般にわたり利用結集いただいておりますことを、あらためて心より感謝申し上げます。去る7月31日、第49回通常総代会が都内で開催され、全ての議案をご承認いただきました。また、総代会終了後に開催された経営管理委員会において、理事の新体制についてもご承認いただきましたことを、まずもってご報告申し上げます。これより2年間の任期となりますが、理事11名が一丸となって会員JAの事業の発展と、生産者の所得向上に努める所存です。
さて、令和6年度は、国内では集中豪雨や豪雪などの自然災害が多発するとともに、夏場の猛暑により青果物を中心に多大な被害が発生しました。また、米の需給が極端に逼迫(ひっぱく)し、量販店の棚から米が消えるなど、主食である米不足と価格高騰が社会問題化した1年でもありました。一方、海外に目を移せば、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東地域での紛争が拡大・激化するなど、世界情勢は混迷の度を深めています。また、自国第一主義の道を突き進む米国との相互関税の交渉は、今般決着しましたが、国内の景気に暗い影を落とすこととなれば、今後は消費減退に伴う農産物価格の下落など、負の影響があることも懸念されます。
こうした厳しい事業環境の中にあった令和6年度ですが、取扱高5兆1286億円、事業利益19億円、当期利益162億円を確保することができました。この結果、出資配当は計画の2%に上乗せして4%とし、利用高配当は事業利益相当額である19億円として実施させていただきます。このことはひとえに、会員JAの皆さまが、全農の事業・サービスを利用し、結集いただいた賜物(たまもの)であると心得ており、深く感謝申し上げます。
日本の農業は今、食料・農業・農村基本法が指し示す方向に向けて歩みを始めたばかりです。しかし、目の前には、農業者の高齢化と急速な減少、人口減少に伴う農産物需要の縮小懸念、気候温暖化による農産物被害の拡大など、冷徹で構造的な課題が山積しています。これらの難題への対応の主人公が、JAグループであることは自明のことではないでしょうか ?
私たち全農グループもまた、JAグループの一員として、農畜産物の適正な価格形成の実現、水田政策の転換と所得安定対策の拡充、既存予算と切り離した大型農業予算の確保(農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約、スマート農業の加速化、輸出産地の育成・強化)など、喫緊の課題に対して全力で取り組むことをお約束いたします。
令和7年4月、全農は「JA全農事業ビジョン2030」をスタートさせました。このビジョンを高く掲げ、組成以来半世紀をかけて培ってきた三つの力、“つくる”力、“とどける”力、“つながる”力に磨きをかけ、会員JAと生産者、そしてお取引先や消費者からも、全農は“なくてはならない組織”だと言っていただけるよう努力してまいります。
引き続き、皆さまのご指導を心よりお願い申し上げます。