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畜産生産部

全農グレイン(株) 輸出エレベーター稼働40周年

強固な集荷・輸送・輸出の物流一貫体制で飼料原料を安定供給

 全農グレイン(株)は米国における全農グループの穀物輸出基地として、1979年に設立されました。82年に輸出エレベーターが完成し、同年9月18日、コープグレインⅡ号への船積みが始まりました。それから40年を記念し、9月22日に記念式典が開かれました。


米国の穀物を日本の農家まで 飼料原料の物流一貫体制を確立

 飼料は海外で生産された穀物を中心に製造されています。全農はかつて米国の農協連合や穀物メジャーから飼料原料を調達していましたが、飼料穀物を安定的に確保・供給するため1979年に米国最大の穀物輸出港であるルイジアナ州ニューオーリンズに全農グレインを設立し、82年には穀物の輸出船積み施設が稼働しました。

 また、自ら穀物集荷機能を担うべく、88年にCGBエンタープライズを買収。日本の生協などの消費者ニーズに対応した飼料穀物を生産・集荷・輸出することのできる、独自のIPハンドリング(分別管理)システムを実現させました。さらに、米国西海岸における飼料原料や牧草などの粗飼料の購買業務、コンテナの手配、輸出手続き、決済業務などを行う目的で2005年、オレゴン州にポートランド支店を設立。子会社である全農ヘイ(株)、関連会社であるCZL(株)の取り扱い分を含め粗飼料および麦類を西海岸から輸出しており、日本向け原料供給網の拠点として安全で安心な飼料原料などの供給に貢献しています。

全農グレインの穀物輸出施設
初船積みの日本農業新聞記事

 
カナダ、ブラジルに子会社や関連会社設立、産地を多元化

 全農グレインと豪州の穀物集荷販売会社・グレインコープ社の共同出資で2015年に設立されたグレインズコネクト・カナダ・オペレーションズ(GCC社)の穀物エレベーター(集荷施設)が19年に完成し、カナダ産大麦、小麦、ナタネの集荷体制が整いました。20年には輸出港バンクーバーにGCC社が合弁で設立した船積み施設(FGT社)が完成するなど、カナダ産飼料穀物のサプライチェーンを確立しています。

 また、世界有数の穀物(トウモロコシ・大豆)輸出国であるブラジルで、飼料穀物のサプライチェーンの構築とさらなる安定供給を図るため、15年に全農グレインブラジルホールディングス(有)を設立。17年には穀物集荷・輸出会社であるALZ社に資本参加し、アジア向けを中心とした穀物供給に貢献しています。

GCC内陸集荷施設
 
内陸産地から輸出港までサプライチェーンを強化

 18年に穀物輸出エレベーターの拡張工事を終え、年間船積み能力を拡大しました。また、21年にバンゲ・リミテッド社の子会社バンゲ・ノース・アメリカ社から米国の内陸穀物集荷施設26基を取得して拠点を120カ所超に増強、米国内での穀物集荷力を強化しています。米国における内陸産地から輸出港までのサプライチェーンの強化により、配合飼料原料のさらなる安定供給に取り組んでいます。

コンベント輸出エレベーター稼働から40年祝い記念式典

 ニューオーリンズ港コンベントの全農グレイン輸出エレベーターで9月22日、記念式典が開かれ、菅野幸雄経営管理委員会会長や自治体関係者、全農グレインOBや業界関係者らが出席しました。菅野会長は「競合他社との厳しい競争や、天候や災害リスクなど、厳しい事業環境の中、今日の隆盛を迎えることができたのは、全農グレイン職員のたゆまぬ貢献とCGBとの連携、そして地元の皆さまのご支援の賜物(たまもの)」と感謝を伝えるとともに、「全農グレインは船積み能力拡張工事を18年に終え、21年度には過去最高となる年間1850万tの船積みを記録しました。今後もこの能力を遺憾なく発揮し、さらにはコーポレートメッセージである『セッティング・ザ・スタンダード(最適な事業運営・会社経営)』を体現して安定的な操業を続けてほしい」とお祝いの言葉を述べました。

 全農グレインは設立以来、内陸集荷基盤強化や輸出エレベーターの増強を図り、世界最大の船積み能力を有する施設として、強固な集荷・輸送・輸出の物流一貫体制を構築しています。畜産農家の経営を支えるためにも、引き続き、飼料の安定供給に取り組みます。

あいさつする菅野会長
全農グレイン年表

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