特集

乗用田植機で水稲の追肥を省力化

2026.08.24
耕種総合対策部

高温期の作業負担軽減へ

 夏の暑い時期に行う水稲の追肥は生産者にとって負担の大きい作業です。全農は井関農機株式会社と共同で、少ない作業負担で効率良くかつ高精度に肥料を散布する新たな追肥技術の開発を進めています。

圃場試験で使用した乗用田植機(井関農機(株)PRJ8シリーズD型FS仕様)

 水稲の施肥方法の一つに、田植え時期に施す基肥と、生育状況に合わせて施す追肥を組み合わせる「分施体系」があります。分施体系では、水稲が肥料を必要とする時期に施肥するため肥料の効果が高められる一方、夏の暑い時期に肥料を散布する作業が発生します。このため、現在は基肥分と追肥分の肥料を田植え前または田植えと同時に施す「一発施肥体系」が広く利用されています。

 追肥作業に使用する農業機械には、背負動力散布機、無人航空機、乗用管理機等があります。しかし、背負動力散布機では肥料の補充に、無人航空機では肥料の補充やバッテリーの交換に時間がかかります。また、これらの農業機械を用いた散布方式では、田植え同時のような高精度散布はできません。高温化が進む中、分施体系では、生産者の作業負担を軽減しつつ肥料を効率良くかつ高精度に散布できる農業機械が求められています。

 そこで全農は、井関農機株式会社と共同で乗用田植機(以下、田植機)を活用した新しい追肥技術を開発しています。田植機に備わる側条施肥機は、走行速度に合わせて肥料の繰出量を自動で調節できるため、高精度な散布が期待されます。機体試作では、泥の巻き上げを抑えるため田植機のタイヤを乗用管理機用のタイヤに交換しました。また、肥料詰まりを防止するため施肥ホースを短くしました。さらに、苗のせ台を上げた状態で、植付け爪を停止することで、幼穂形成期の水稲圃場(ほじょう)でも稲体への影響を軽減して追肥できるように田植機を設定しました。

 圃場試験の結果では、田植機が直進した場所で水稲を踏み倒すことはほとんど確認されませんでした。また、栽培管理システム「xarvio(R) FIELD MANAGER」を用いて圃場の生育ムラに基づいて作成した可変施肥マップと田植機を連動させ、田植機が生育ムラに応じて散布量を変えながら追肥できました。これにより、圃場の生育ムラを改善する効果も確認されました。

 一方、今回使用した8条植え田植機の散布幅は2.4mであったため作業行程数と旋回回数が田植え作業と同等となり、高温下での作業時間に課題がありました。今後、井関農機株式会社と全農は散布幅の拡大や作業経路を調整するなど、より効率的に追肥するための改善に取り組むなど引き続き技術開発を進めていきます。本内容は「グリーンレポート2026年7月号」にも掲載しております。併せてご覧ください。

グリーンレポートはこちら https://www.zennoh.or.jp/greenreport/

圃場試験における測定の様子(測定調査のため複数名乗車していますが、農作業安全に十分配慮して実施しています)
旋回の様子(測定調査のため複数名乗車していますが、農作業安全に十分配慮して実施しています)

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