【Web限定記事】新幹線とJR貨物で県産果実を新鮮に輸送
鉄道と連携し物流「2024年問題」を見据えた課題解決へ
山形県本部は6月16日と23日、県とJR東日本東北本部と連携し、県産サクランボを山形新幹線「つばさ」で輸送しました。サクランボは、東京駅構内のコンビニエンスストアNewDaysと東京都港区のスーパーマーケット・紀ノ国屋インターナショナルで販売され、約2時間で売り切れる盛況ぶりでした。7月5日と12日には、JRコンテナで庄内メロンを試験輸送。両日、約6tのメロンをコンテナに積み込み、JR貨物酒田港駅から大阪貨物ターミナル駅まで列車で輸送しました。
この取り組みは、働き方改革関連法による時間外労働時間の上限規制など、ドライバーの確保や長距離輸送が困難となる「2024年問題」を見据えた輸送力確保が目的で輸送手段の一部を鉄道にすることで、持続可能な輸送体制を構築することが狙いです。
6月のサクランボの輸送では、在来線を使った荷物輸送サービス「はこビュン」を活用しました。山形市内の生産者から出荷されたサクランボを県本部が手配し、午前9時3分発の山形新幹線「つばさ132号」で東京駅へ向け出発。当日の正午過ぎにはサクランボが店頭に並べられました。
当日はサクランボの代表品種である「佐藤錦」や「紅秀峰」の他、今年本格デビューした大玉新品種「やまがた紅王」などを輸送。届いたサクランボは新鮮な状態が保たれ、旬のサクランボを求めて多くの買い物客が訪れました。
7月のメロン試験輸送では、庄内メロンの主産地であるJA庄内みどり浜中選果場から、新潟・北陸を経由し、大阪府のJA全農青果センター(株)大阪センターまで輸送しました。保冷タイプのコンテナを使用し、全行程において輸送途中における温度や湿度、揺れによる衝撃度合いなどを検証。パレットに荷物を積み付ける「パレタイズ化」などを実施し、運送事業者の手荷役を軽減しました。
担当者は「販売先からは、品質低下もなく食味も良好との評価をいただいた。2024年問題への解決の糸口になるだろう」と期待を寄せます。
山形県本部では今後も、遠隔地を中心に試験を継続するとともに、トラックでの中継輸送や他品目での試験を実施し、輸送に関する課題に備えていきます。

