特集

全農グループが結集し生産現場を支える

2026.03.16
広報・調査部

齊藤良樹代表理事専務インタビュー 〜今年度の総括・来年度の抱負〜

 販売事業、輸出対策、技術・研究開発を担当する齊藤良樹専務に2025年度の振り返りと26年度に向けての戦略について聞きました。


齊藤良樹代表理事専務
——今年度を振り返り、販売事業・技術開発・輸出など、専務が担当される分野についてどのように受け止めていらっしゃいますか。

 今年度は米価の急激な上昇や需給の不安定化、気候変動の深刻化、和牛相場の低迷、生乳の需給失調、生産資材価格の高止まりに加え、物価上昇や食生活の変化などによる消費行動・構造の変化が重なり、生産者の営農と経営、さらには全農の事業運営に大きな影響を及ぼした1年だったと認識しています。

米需給の変動と米穀事業の対応

——米をめぐる大きな変動のなかで、全農の米穀事業はどのように取り組んできたのでしょうか。

 25年産米は需給がタイトな状況で始まり、政府備蓄米対応や価格上昇など、産地・集荷・流通・消費のあらゆる局面で大きな変化がありました。その中で全農は「生産者の営農継続」と「全国の実需者・消費者への安定供給」を柱として取り組みを進めてきました。 

 24年産で減少した集荷の回復を最重要課題とし、主食用米の集荷目標を227万tに設定しました。大規模生産者へのJAと連携した直接訪問、契約履行率の高い生産者への出荷奨励、「営農継続可能な契約栽培取引」の導入・拡充など、地域の実態に応じて集荷対策を強化してきました。

——成果と課題については、どうお考えですか。

 一定の成果は得られましたが、生産者の出荷先が複線化するなど、流通構造の変化も改めて確認できました。

 行き過ぎた集荷競争は米価の過度な上昇や外国産米の増加を招き、国産米の消費減退につながる懸念もあります。

 26年産米に向けては、全国の需給動向をしっかり見通したうえで品目・用途別の生産と安定取引の実現、併せて生産者手取りの確保を両立させることが重要だと考えています。

 また、主食用米に限らず、備蓄米・加工用米・輸出用米、飼料用米などの水田活用米穀、麦・大豆といった輸入依存作物も含め、水田全体の活用を考えたポートフォリオの設定が重要だと認識しています。

昨年9月に竣工した全農パールライス㈱千葉米粉工場

畜産・酪農の厳しい環境と取り組み

——畜産・酪農を取り巻く環境も非常に厳しい一年でした。

 飼料やエネルギーコストの高止まりにより、中小規模の生産者を中心に廃業が続きました。和牛は素牛価格が平均で70万円台まで回復しているものの、牛肉の消費は低迷し、枝肉相場は前年割れの状況です。

 全農では、国の緊急対策事業を活用した需要喚起、外食・インバウンド需要への取り組み、こども食堂への食材提供、輸出強化など、多面的な需要拡大策を進めています。同時に、獣医師や技術者がJAの営農指導員と一体となって農場の予防衛生や暑熱対策、生産性向上の支援に取り組んでいます。

 酪農においても、都府県では離農が継続的に進む一方、北海道では生産拡大志向が強まっており、地域間の動向差が需給調整を難しくしています。全農は乳製品工場との連携強化により需給の平準化を図るとともに、新工場建設や「全農美土里ファーム」の稼働による生産基盤の補完にも取り組んでいます。養豚・鶏卵でも疾病の影響が続き、供給調整や衛生対策を強化しています。

 一方、配合飼料については、為替や国際情勢の影響で価格が大きく変動し、生産者の皆さまにもご負担をおかけする局面が続きました。

 全農では、スイスに設立した全農グローバルホールディングス社を活用し、調達の安定化とリスク分散を進めています。併せて国内では、JA全農くみあい飼料の機能強化や機能性飼料の開発・普及にも力を入れ、生産現場をしっかり支えてまいりたいと考えています。

営業開発・研究開発・輸出の 取り組み

——営業開発や研究開発、輸出分野の進展についてはいかがでしょうか。

 外食企業への提案、「ニッポンエール」の商品開発、直売所支援、ファミリーマート様との協働など、販売チャネルの拡大が進みました。生協様との連携による産地訪問では、米の安定供給に向けた対話が深まりました。技術面では4研究所の連携体制を整え、農研機構様との高温対策研究、安川電機様とのロボット化など、実装に直結する研究を強化しました。

 輸出は米相場の高騰や競争激化などの影響で厳しい状況でしたが、米のコスト競争力強化、和牛の部位・販路多様化、青果物の輸出産地づくりとコールドチェーン整備など、安定的な輸出基盤の構築を進めています。

展示会に全農グループで共同出展

来年度に向けて

——来年度に特に注力される点を教えてください。

 特に重要なテーマとして

 ▽米の需給適正化に向けた取り組み▽和牛需要拡大、生乳需給安定化と酪農経営の維持▽国産青果物の供給拡大に向けた生産振興▽国の政策に呼応した国産農畜産物(加工品含む)の輸出促進や、合理的な費用と営農継続を考慮した日常的な取引の推進▽農畜産物の温暖化(高温)対策の取り組み——を考えています。

 構造的課題に正面から取り組み、持続可能な農業の確立を目指します。

——最後に、JA役職員へのメッセージをお願いします。

 全国のJAおよび連合会の皆さまには、日頃より生産現場を支えるため多大なるご尽力を賜っており、心より感謝申し上げます。

 農業を取り巻く環境は大きな転換期を迎えておりますが、こうした変化は同時に新たな可能性を切り開く契機でもあります。

 全農グループは、生産者およびJAグループのサプライチェーンを支える責務を自覚し、持続可能な日本農業の実現に向けて、不断の努力を重ねてまいります。

 引き続き、皆さまのご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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