小谷あゆみさんが報告 「91農業」を広めよう!
双方が笑顔になる農業人材のマッチング
全農の主催で2月に開かれた「91農業フォーラムin東北」。仙台市内の会場には約500人が参加し、市民や企業など様々な人が農作業に関わることで地域農業を支える意義について語り合いました。コーディネーターを務めた小谷あゆみさんが報告します。
「91農業フォーラムin東北」で特別講演をしたのは、サッカー元日本代表の中田英寿さんです。現役引退後は「にほんもの」プロジェクトとして全国の伝統産業を訪ね、農業をはじめ日本酒やお茶の魅力も発信されています。
中田さんは、「農業は単なる経済活動だけでは扱えない部分がある。食べる側もリスクを背負わないといけない。そのためには先払いして安心を担保する方法もある。でないと最後に困るのは消費者だ」と話しました。印象的だったのは、生産者を巡る旅でキノコ採りに同行して以来、食事にキノコが出ると、生産者の苦労を思い出し、思わず「お疲れ様です」と言いたくなるというお話。現場の苦労を知れば、食べものへの見方が変わる!まさに経験による意識の変化です。

全農が「91農業」を提唱する背景には、現場の労働力不足という切羽詰まった課題があります。「週末だけのスキマバイトでOK。就農までは求めません。時々でいいので農作業しませんか」という消費者への呼びかけですが、この農業関係人口という裾野の拡大が実は農業界全体のイメージアップにつながると筆者は考えます。
事例報告をした日本航空(株)、JAふくしま未来、全農山形、(株)そうしんアグリに共通していたのは、どの現場でも作業を終えた人が、「楽しかった」と笑顔になるという話でした。人材確保には時給や条件も大事ですが、人がスキマ時間に求めるものはそれだけではありません。
91農業が社会にもたらすインパクトは労働力支援にとどまらず、つくる喜びや苦労、生産のプロセスを知る〝よき消費者〟を育てるという大義があります。ともに働いて交流し、会話をすれば、双方にやる気や誇り、思い出が生まれ、その農産物への愛着も生まれます。言い換えると、働いた経験や苦労がないと、食への感謝は芽生えにくいということです。農や食の価値を知る人を増やすためにも、91農業を広めませんか。







