特集

持続可能な物流に向けた全農グループの取り組み

2025.12.08
経営企画部

農業と食の安定に資する持続可能な物流実現に向けて

 全農は、持続可能な「農業」と「食」の提供のために、物流事業者・取引先などと連携しながら、物流取引の適正化・効率化に取り組んでいます。


(1)物流改善へ向けた法改正 国が規制的措置を導入

 国は働き方改革関連法により2024年4月以降、トラック運転手の年間時間外労働を960時間に制限し、労働環境の改善を図ることとしました。これに伴う物流停滞の懸念、いわゆる「2024年問題」への対応として、同年5月には「物資の流通の効率化に関する法律」および「貨物自動車運送事業法」の改正法を公布しました。(表1)

 改正物流関連法では、発荷主だけでなく着荷主も含めたすべての荷主と物流事業者に、物流効率化への取り組みを努力義務として課し、国が定めた判断基準(表2)に基づき、指導・助言、調査・公表を行います。

 また26年4月には、全農を含む一定規模以上の荷主・物流事業者を「特定事業者」に指定し、中長期計画の策定や定期報告を義務付け、取り組みが不十分な場合は、勧告や命令を行うこととしています。

 このような情勢を受け、全農グループでは物流取引の適正化・効率化の観点から次の取り組みを行っています。

(2)物流取引適正化の取り組み

 全農は全国のJAを対象に、23年度から物流に関する説明会を毎年開催し、法令改正の要点や留意事項などを周知しています。23年12月には、政策パッケージおよびガイドラインを受けて「自主行動計画」を策定し、荷待ち時間や荷役作業などの内容把握・時間の削減、運送契約の適正化、輸送・荷役作業などの安全の確保など、現場課題に即した改善を進めています。

 また、「物流改善の手引き(JA全中との共同制作)」や、「T11パレットに適合した段ボール標準化ガイドブック」を作成・配布し、グループ全体での理解促進を図っています。

(3)中継輸送の取り組み

 全農は、長距離輸送時のドライバー拘束時間の短縮や効率化を目的に、政府・行政各省と連携したパレット輸送標準化の推進に加えて、中継輸送の取り組みを実施しています。

 青果物輸送では、大分県や岩手県などに県域拠点、福岡県に北九州ストックポイントを設置し、中継拠点を介した幹線・地域輸送分離により、ドライバーの負担を軽減しています。また、素(もと)牛の生体輸送では従来、北海道・九州間を輸送していましたが、滋賀県に中継拠点を設置し、家畜のストレスや生産性低下の防止につなげています。(図1)

(4)モーダルシフトの取り組み

 全農では、リードタイムに余裕のある品目や鮮度が求められる品目など、それぞれの特性に応じた輸送手段を検証し、鉄道・船舶・航空などの輸送手段を活用しています。(図2)

(5)今後に向けて

 全農は、改正物流法の施行を踏まえ物流事業者や取引先との連携を一層強化し、持続可能なJAグループのサプライチェーン構築に向けて、物流品質の向上と高度化に取り組みます。

 また、直近では国が主導する「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」などを通じて、農業施設や輸送機器の整備支援、パレット導入や施設整備費の負担軽減に向けた支援を求めており、今後もその取り組みを継続します。

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