特集

全農・桑田理事長、JA全青協・星会長、北川参与が対談

2026.09.14
広報・調査部

生産者の情熱を未来へつなぐ
全農とJA全青協が描く、新たな連携のかたち

 農業は今、大きな転換点に立っています。担い手不足や高齢化、資材価格の高騰、気候変動など、生産現場には厳しい課題が山積しています。一方で、現場には逆風を押し返そうとする若い農業者たちの熱意が確かに息づいています。


 今回、全農の桑田義文理事長と、全国農協青年組織協議会(JA全青協)の星敬介会長、北川敏匡参与が対談。日本農業の未来に向けて、今、何が必要なのか、そして全農とJA全青協が描く、新たな連携のかたちについて、語り合いました。

「誰が農業をするのか」が最大の課題

 桑田 私が今、一番強く問題意識を持っているのは、「この先、誰が農業をするのか」ということです。全農は肥料や飼料、燃料、農業資材の供給から販売、物流、商品開発まで幅広い事業を担っています。しかし、そのすべては生産者がいてこそ成り立つものです。生産者がいなくなれば、全農の事業も成り立たなくなります。担い手不足は、全農自身の根幹に関わる問題だと考えています。

 北川 全国の青年農業者と接していて感じるのは、決して悲観的な空気ばかりではないということです。集まれば「こんな課題がある」「こんな失敗をした」という話も出ますが、それで終わらない。「じゃあ次はどうするか」をみんなで考える。希望を持って前に進んでいる農業者は多いと思います。

  私も同じです。確かに農村の人口は減っていますし、地域を支えている高齢世代の負担も大きい。一方で、青年部には熱意を持った仲間が集まっています。熱い人は熱い人を呼ぶ。そうした仲間と活動していると、「まだやれる」「何かできる」という希望が生まれるんです。

逆風の中でも現場は踏ん張っている

 桑田 高齢化、気候変動、資材価格の高騰、さらには国際情勢の変化など、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。それでも現場には、知恵や工夫で逆風を押し返そうとする力がある。そのことに私は大きな敬意を持っています。

 北川 最近よく聞くのは、「資材が高い」「必要なものが手に入らない」という声です。実際、農業用マルチフィルムが不足した時には、全国から相談が寄せられました。でも現場は諦めません。代替手段を探し、少しでもコストを下げる方法を考えながら営農を続けています。私自身も、採算だけを考えれば、田植えをためらう場面がありました。それでも農地を守りたいという意地があります。

  米については、今年は正念場です。コスト指標が示され、生産コストを意識した価格形成への期待が高まっています。私たち農業者は長い間、コストを十分に価格へ反映できない状況で頑張ってきました。だからこそ、生産現場の実態を社会に伝えていかなければならないと思います。

 桑田 全農としても同じ思いです。需給や品質によって価格が決まるのは事実ですが、生産者がどれだけのコストを負担しているのか、その現実を消費者に理解していただくための努力は続けなければなりません。

人とのつながりが農業を支える

 北川 農業は一人で土や作物と向き合う時間が長い仕事です。私も就農したばかりの頃は、愚痴を言っても聞いてくれるのは土と植物だけでした。でも青年部には仲間がいる。同じ悩みを抱えながら頑張る人が近くにいることが、本当に大きな支えになります。

  SNSも便利ですが、やはり直接会うことの価値は大きいと思います。人と人が顔を合わせて話し、共感し合う。その積み重ねが地域や農業を支える力になるのではないでしょうか。

 桑田 私は「頻度は嘘をつかない」という言葉を大切にしています。会う回数、話す回数、一緒に行動する回数を重ねるほど関係は深まります。結局、一人でできることには限界があります。だからこそ人とのつながりを大切にしたいですし、JA全青協との接点もさらに増やしていきたいと思っています。

広報と販売で新たな連携を

 桑田 これまでJA全青協との連携は、生産資材や農機など生産現場に近い領域が中心でした。今後は、広報や、商品開発、人材育成など、もっと幅広い分野で一緒に取り組みたいと思っています。

  私たちも同じ考えです。今年度は広報戦略委員会を立ち上げました。SNSや情報発信を強化し、若い世代に農業や青年組織の魅力を届けたいと考えています。全農の発信力と現場の声が結びつけば、さらに大きな力になるはずです。

 北川 農業者から見ると、全農が何をしている組織なのか十分に理解されていない部分もあります。だからこそ、広報でも販売でも、まずは一緒に成功体験をつくることが大切だと思います。接点が増えれば、お互いへの理解も深まっていくはずです。

「情熱一心」~情熱を一つに未来へ~

  今年のJA全青協のテーマは「情熱一心」です。青年組織の原点は情熱にあります。全国の仲間が心を一つにし、自分の役割に情熱を持って向き合う。その思いを込めました。

 北川 その思いは、JAグループ全体とも共有できると思います。農業者だけでなく、支える側も含めて力を合わせることが大切です。

 桑田 農家がJAをつくり、JAが全農をつくりました。つまり全農をつくったのは生産者の皆さんです。だから遠慮なく声を届けてほしい。全農は「食と農を未来へつなぐ。」という使命のもと、JA全青協の皆さんとともに歩んでいきたいと思います。今回の対話を通じて、目指す方向は同じだと確信しました。日本農業の未来に向けて、これからも共に前進していきましょう。

日本農業の未来について意見を交わした (左から)北川参与、桑田理事長、星会長
「情熱一心」のポーズで撮影

編集後記

 担い手不足や資材高騰など厳しい課題が続く中でも、今回の座談会では「農業の未来を支えるのは人」という共通の思いが何度も語られました。
 JA全青協の仲間づくりの力と、全農の持つ機能やネットワークが連携することで、新たな可能性が生まれようとしています。
特に広報や商品開発、人材育成など、生産現場の枠を超えた協力への期待が強く感じられました。
 印象的だったのは、「熱い人は熱い人を呼ぶ」「頻度は嘘をつかない」という言葉に象徴される、人と人とのつながりの大切さです。
 「情熱一心」のもと、全農とJA全青協がともに歩むその先に、日本農業の明るい未来が見えてきたように感じられました。

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